紗羅と咲、宿命の女の戦い 1話
2002年某月ジャパン武道館—。
『第1回teenage読者モデルグランプリ』全国本戦当日、
会場は多くのマスコミや10代の女の子たちで溢れかえっている。
雑誌「teenage」と言えば、10代の女性の98%が愛読している脅威のカリスマファッション誌。
その雑誌のメインモデルが100万人の読者から選ばれる、ということで、その日は日本中の女の子がその行く末を注目していた。
書類審査から約半年—。ようやく10名の候補者に絞られ、この日を迎えた。
容姿はもちろんのこと、趣味や教養など全てにおいて完璧さを求められる高度なオーディションであった。
審査員の顔ぶれも、某TV局や大手代理店の代表取締役、国民的女優や俳優陣、巨匠映画監督などで、グランプリに選ばれた者の未来は約束されているかのように見える。
最終決戦は、制服審査・水着審査・演技審査・コミュニケーション審査・教養審査・・・まるで、ミス・ユニバース並の審査!
「絶対、あの6番の娘(こ)よ!くやしいけど、同い年齢(おないどし)であんな美人、みたことない・・・」
「3番もいいけど、6番の紗羅、かなりイケテンじゃん♪」
会場に観覧しているのは実は100倍の倍率で当選した愛読者代表たち。
実は来場者にも審査員の資格を与えられており、真剣な眼差しで選別しているのであった。
全ての審査が終わり、まさにグランプリの発表を今か今かと待ちわびている会場の舞台裏で、何がおこっていたかは誰も知る由もなく、会場の熱気はまさに最高潮に達していた―。