紗羅と咲、宿命の女の戦い 51話
咲がテーブルに戻ると、紗羅の姿はなかったー。
「案外、もろいオンナなのね、闘いははじまったばかりなのに」
意地悪く微笑みながら、咲はこう呟いた。
「祐天寺様、あの・・・こちらを美肌様がお渡しするようにと」
レストランの支配人がメモらしきものを、咲に渡した。
“咲さん、達哉さんの心変わりのお相手は、貴女だったのね。
まだ、真実を受け入れられないけれど、わたくしいつの日か祝福できるように頑張りますわー。今日はこれで許して頂戴”
「フハァッッ!なんておめでたいコなの!?紗羅は!
面白いわ!支配人、ブランデーを持って来て頂戴、もちろん、ボトルで!」
咲は、予想外の紗羅の反応に、酔わずにはいられなかった。
湾岸ハイウェイを走るリムジンの後部座席で、紗羅は窓から見える景色をずっと眺めていた。
「わたくしったら、本当にバカね・・・こんなに達哉のこと、苦しめてたなんて」
全ては自分の鈍感さが引き起していたことと思い込み、ただひたすらに自分を責めているのだった。
そうしているうちに紗羅の携帯がなった。
1通のメールが届いた、宛先は不明ー。
ー真実を知りたいのであれば、1人でお台場公園に今すぐ来て欲しいー
「車を止めて頂戴。1人で帰るわ」
紗羅は、運転手にこう告げたー。