紗羅と咲、宿命の女の戦い 46話
「ねぇ、ボクの紗羅はどうシテルの?」
韓流スターイ・チャンヒョクは紗羅の来韓遅れのため、撮影が一向に再開せず暇を持て余していた。
「チャンヒョク、なんだか紗羅は大変ソウだ。彼氏が入院しているラシイ」
チャンヒョクのマネージャーは答えた。
「えっ?!紗羅には恋人がイルの?」
チャンヒョクは思わず声を荒げた。
そしてしばらくうつむき、数分後、こう答えた。
「ボク、日本に行くよ。紗羅を迎えに行く。いいだろ?」
傷心の紗羅は、達哉との面会も禁じられていた。
毎日病室の前に来ては瞳に涙を浮かべた。
「また、来ます・・・」
その言葉を繰り返しては、病室を後にするのであったー。
湾岸沿いにある最高級ホテルの最上階スィートの窓辺から、祐天寺咲はじっと暗闇の海を見つめていた。
そっと扉が開くー
「咲、待たせたね」
入ってきたのは、櫻小路達乃助であった。
「お久しぶりね、携帯も繋がらなくて。いったいどうなさったの?」
咲は達乃助の上着をそっと脱がせた。
「いや・・・言うべきか否か。実は次男が入院してねぇ」
達乃助はため息まじりにそう言った。
「まぁ、そうでしたの。わたくし全然知らずに。今日は強引にお誘いしてしまったかしら」
咲は、ソファから立ち上がろうとした。
すると
「いや、大丈夫だ。家にいても・・・気分転換がしたい。先にシャワーを使わせてもらうよ」
達乃助はバスルームに向かった。
咲はワイングラスを手にして、もう一度オーシャンビューを見つめた。
「あんなことくらいで死のうとするなんて・・・やっぱりお坊ちゃまよね、フフフ」
窓に映る咲の瞳がするどく光った。
「紗羅、貴女の大切なものを何もかも奪ってやるわ・・・そう何もかも!!!」