紗羅と咲、宿命の女の戦い 16話
紗羅の顔面は蒼白になり、身体はブルブルと震えはじめた。
「すべては、わたくしの・・・わたくしのせいでっ!!!」
ダリアは哀しそうな目でまわりの艶やかな花の色に目を細め、小さくため息をつきながら首を横に振った。
「紗羅、そうではないわ。真貴がこの家を出てからの素行はずっと内密に調べていたわ。そう、毎日毎日ずっと。写真で見る真貴は本当に幸せそうだった。そう、貴女が生まれてからは本当に幸せそうだった・・・」
ダリアの話を聞きながら紗羅は、真貴が遺した日記に書かれていたことを思い出していた。
自分が選んだ道は正しかったのか。それとも間違っていたのか。
愛する夫と出逢い、紗羅を身ごもったそのときから、長年の間、真貴は美肌家を継がなかったことをひそかに思い悩み続けていたのである。
母親の日記の存在によって、母親を死に導いた真相を尋ねるには、もう美肌家を訪れるしか、紗羅には方法がなかった。
「真貴からわたしのところに一本の電話があったわ。そう、あの子が自ら命を絶ってしまう前日に・・・」
「お母さまから電話が?!!!」