美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 21話

五つ星★超豪華ホテルの最上階の一室では、襲名披露会見の様子がテレビに映し出されていた。
バスローブに身を包み指先にタバコを持った祐天寺咲がソファで、記者会見の一部始終を見ていた。
「やはり・・・あのとき、とどめを刺しておくべきだった!!!」
咲はタバコを灰皿に力強く押しつけるようにして消した。
華やかなブランドやデパートが建ち並ぶ銀座五丁目の一角――。
紗羅の記者会見が終えてからというもの、『美肌エージェンシー』には、香水やファッションブランドのイメージモデルから映画出演の依頼に雑誌での特集など、様々なオファーが立て続けに舞い込んできている。
それらを吟味して取り仕切るのは、美肌家の“敏腕”広報担当の鮫島女史の役割であった。
鮫島女史はその日、美肌エージェンシーと繋がりの深い某大手広告代理店局長との打合せを紗羅同席のもと予定していた。
「いやー紗羅さんは、本当に美しい!
うちも問い合わせの電話ばかりで回線がパンク寸前ですよ!」
局長は会議室に入るや否や意気揚々と口を開いた。
「そう、今日はぜび紗羅さんにもご紹介したいうちの有望な新人も連れてきたんです」
局長が廊下に向かって声をかけると、ドアが開きひとりの男性が現れた。
男性は頭を下げ、紗羅と鮫島女史に挨拶をした。
「はじめまして。櫻小路達哉といいます」
「あっ!!」
紗羅と櫻小路は同時に声を発した。
そこに現れたのは紗羅がイタリア留学時の先輩・櫻小路達哉であった。