紗羅と咲、宿命の女の戦い 20話
祖母・ダリアの手は震えていた――。
美肌一族は先祖代々からその血縁を守るために、これまで残酷な争いを繰り広げながらもその血筋を死守してきたのである。
そんな一族の血の重みを物心ついた頃から知るダリアにとって、由緒正しき美肌一族の血を受け継ぐ紗羅に当主を委ねることが出来たこの日を何よりも心待ちにしていたのであった。
そのダリアの横で、美肌家の当主らしく凛としてマスコミに受け応える紗羅がいた。
それもそのはず――。
姿を消していた半年間、紗羅は血の滲むような美の特訓を受けていたのであった。
完璧とも言える襲名披露記者会見を終えた紗羅とダリアが大広間を出ようとしたそのとき一人の記者が紗羅の元へ駆け寄ってきた。
「紗羅さん! 学生時代にエントリーされていたteenageコンテストの件、覚えてらっしゃいますかっ?!」
大広間の扉を開けようとした紗羅の手が一瞬止まった。
「・・・今となっては、過去のことですわ」
紗羅は静かに目を伏せて、会場をあとにした。
その質問を投げかけた芸能リポーターの高松は、眼鏡を掛けなおしながら小さく呟いた。
「いよいよ始まるわ・・・今世紀最大のオンナの闘いが」