紗羅と咲、宿命の女の戦い 36話
約1週間、プライベートアイランドで過ごした達哉と紗羅は、無事に日本に帰国した。
空港に迎えに来ていた櫻小路家のリムジンに二人が乗り込んでいる様子が、パパラッチによりたくさんのマスコミに取り上げられている。
紗羅は愛する達哉と久しぶりにゆっくり過ごすことが出来て、この上なく幸せな気分に包まれていた。
「紗羅お嬢様、お帰りなさいませ。お嬢様が大好きな摘んだばかりのハーブティをお持ちしました」
「まあ、ありがとう。疲れた身体には温かいハーブティが一番ね。早くこちらのテーブルに、フフフ♥」
透き通るような肌に頬がほんのり紅く染めながら紗羅は、香り高いハーブティに口をつけた。
「達哉さんと過ごした毎日が夢のようだったー。やっぱりわたくしのこと、愛して下さっている。愛されていないとわたくしはもう生きている意味すら感じなくなってしまっている。恋ってオンナを美しくするけど、弱くもしてしまうものなのね・・・」
紗羅を美肌家に送った後、達哉が向かった先は、ポークハイアットホテルだった。
最上階のドアをノックする達哉。
何も返答がなかったー。
達哉は帰ろうと背を向けた、するとー扉がゆっくりと開いた。
「どうぞお入りになって」
驚く程妖艶な空気を醸し出している祐天寺咲が、達哉を招き入れた。
『またはじまってしまうー』
達哉は心の中でそう呟いた。