美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 38話

紗羅への想いがつのるばかりの達哉は、それが恋だと気づくのにそう時間はかからなかった。
「紗羅にもう一度逢いたいー」
そんな想いを日々募らせ、そして偶然にも逢えた高台の塔で語り合った時間は、確実に恋なのだと自覚させてくれたー。
紗羅が留学先の学院を休学し、日本に帰国したことを知ったのは、1ヶ月後のことであった。そして、その2ヶ月後・・・達哉にも不幸が起こった。
達哉の最愛の兄が自殺を謀ったのである。表向きには原因不明による病死とされているが、実は植物状態でスイスの大病院に入院している。
しかし事実上櫻小路家の跡取りを失ってしまった達哉の父親は、達哉を跡取りとして育て直すようー日本へ帰国指令を下した。
富裕層のゆとりから生まれたとしかいいようがない優しい性格である達哉にとって、ビジネスを覚えることは堪え難かった。
しかし、「同じ日本にいればいつかきっと紗羅に逢える」その想いだけを胸に日々努力していた。
そんな矢先、偶然つけたTVで紗羅を見つけた。
出会った頃よりより一層美しく輝いている紗羅を見て、達哉は再び胸が熱くなるのを憶えた。
「紗羅ちゃんー、いつか僕は君にふさわしい男性になれるようもっともっと努力するよ」
そして約1年後—達哉と紗羅は本当に出逢うことが出来た。
「達哉さん!偶然ね!本当に嬉しい!」
そう素直に喜ぶ紗羅であったが、全ては達哉の計画によるものであった。
紗羅と仕事ができるよう意図的に会社や仕事を選択していた。
そんな純情で一途とも言える達哉にとって、紗羅を裏切ることなど何よりも堪え難いであろう。
紗羅を愛しながらも、しかし咲との情事を重ねる日々が・・・いつしか達哉の繊細な心を壊しはじめるのであった。