美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 37話

櫻小路家は世界中から認められている大財閥であった。
次男である達哉は本来事業を継ぐことはないとされていた。
しかし長男の突然の死により、急遽留学先より帰国することとなり本家の跡継ぎを命じられることになった。
もともと跡取りとして育てられなかった達哉は、幼少の頃より自由奔放にのんびりと育てられてきた。
植物をこよなく愛して世界中の植物を観察したい、という純粋な気持ちから海外に留学していた――。
端正な顔立ちとスタイル、そして何より純粋で真っすぐな男らしい性格の達哉は留学先のイタリアでも好意的に受け入れられた。
特定の女性の噂もなく、大財閥の息子でもある彼のハートを誰が射止めるのか、それは学園中の注目の的となっていた。
ある日の朝、達哉が大学に向かっている最中に校門をよじ登ろうとする紗羅の姿を見かけた。インパクトのあるその光景に目を惹かずにはいられなかった。
校門をよじ登ろうとする紗羅のその肌は透き通るように白く輝いていた。
呆気に取られその姿を見ていると、突然滑り落ちるようにして倒れそうになった紗羅を抱きかかえる形で助けていた自分がいた。。
「ありがとう・・・」
あまりにも美しすぎる笑顔でお礼を言う紗羅に、達哉は胸の高鳴り以上のものを覚えたのである。
その日、授業を受けていても達哉の心は落ち着かなかった。
思い出すのはまぶしい笑顔とあの透き通るような白い肌ばかりだった。
いてもたってもいられなくなった達哉は思わず隣に座るイタリア人のクラスメイトに訊ねてみた。
「あのさ・・・女子部の・・・日本人の娘で・・・」
「あ! miss紗羅だろ?!お前もついに恋したのか?!」
――これが、恋?――
達哉は窓の外の景色をぼんやりと眺め続けたのだった。