紗羅と咲、宿命の女の戦い 23話
櫻小路達哉との再会は、母を失ってから慌ただしかった紗羅の生活にひとときの癒しと一筋の光を与えたー。
ーまた逢ってくれるねー
そう耳に囁いた達哉の台詞を何度も想い返す紗羅は、日に日に美しさに磨きがかかっていく。
“きっとあのまま学院生活を送っていたら・・・わたしたち恋に落ちていたのかしら。今からでも始まるのかしらん”
「紗羅さん!本番ですっ!」
「あっ、はい!今行くわ!」
紗羅の頭の中は達哉のことでいっぱいになっていた。
「いやぁ、作戦成功ですな。紗羅姫に欠けていた恋というスパイスが加わることで美しさに不思議な魔力がかかったようだ!さすがは鮫島女史」
「ええ、全ては局長のお陰ですわ。ところで例の写真の件は大丈夫かしら?」
「もちろん。明日のスポーツ紙の一面は紗羅で賑わうことでしょう」
マスコミを思うように操り、世界中に美肌家の名を知らしめた敏腕且つ豪腕な鮫島女史の紗羅を見つめる眼は、スタジオの片隅で怪しげに光った。
達哉と紗羅、全ては仕組まれた運命の再会であった。