美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 49話

ゴールドやシルバーにライトアップされた木々、賑わう人々ー
車窓から見る12月の街並は、光り輝いている。
「もうクリスマスなのねー」
紗羅はリムジンから見る表参道の街並を遠い目で眺めていた。
「お嬢様、達哉さまのお加減はいかかなのでしょう?」
美肌家代々の運転手は心配そうに聞いた。
「もう、本当にダメみたい・・・わたくしたち。どうして、こうなったのかしら?クリスマスも一緒に過ごしたことがなくってよ」
紗羅の瞳からは涙が溢れていた。
「お嬢様の涙がダイヤモンドとなり、世の女性たちを幸せにしてくれるはずです。わたくしはいつでもお嬢様の味方ですから」
「ありがとう。そう、わたくしには与えられた使命があるわね!」
紗羅の驚く程のポジティブさは、彼女に笑顔を取り戻した。
午後、美肌オフィスの最上階テラスで鮫島女史と打ち合わせを設けた。
「紗羅、面白い企画をもらったの!あの祐天寺咲と公開ビューティ対決よ! あまりにも人気のある二人がどちらが美のミューズとしてふさわしいか、その場で選ぶの!」
「鮫島さん、わたくし、そんな企画は受けれないわ。こんなに親しくしていただいている咲さんなのに。
ごめんなさい、断って頂戴」
紗羅は肩をおとした。
達哉が自殺未遂を図った以降、毎日咲からの励ましが、紗羅を救ってくれていた。
一人っ子の紗羅は、いつしか本当に姉のように感じられていたのだ。
そんな姉のような咲との対決など、出来るはずがない。
そんなことを考えている瞬間、紗羅の携帯がなった。
「まぁ、咲さん?ちょうど今咲さんのことを考えていたの!今日?お食事?もちろんですわ!」
紗羅は、うれしそうに電話を切った。
コレから何が起きるかを予想だにもしていないのであった。