美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 52話

「あ、あなた・・・レポーターの!」
紗羅は驚きを隠せなかった。
紗羅を呼び出したのは、高松七恵レポーターであった。
美肌家代々の軌跡を追っかけ、真の女性の美しさとは何か?をテーマに美容ライターとして大活躍を続けてきた売れっ子文筆家であった。
そんな彼女がある事件をきっかけに美容業界から姿を消すこととなったー。
彼女は3流芸能ライターという肩書きで、美肌紗羅を取材し続けていたのである。
「高松さん、あなたの記事はいつもわたくしにとって大切な内容ばかりですわ。
だけど、プライベートまでお話したことは一度もないはず・・・。真実と言うのはいったい何のことですの?」
「女性という生き物は本当に面白いモノー。
どんなに着飾っても、どんなに高級なコスメを使っても、一番効果があるのは、精神的な幸福を味わうことなの。美肌紗羅さん、あなたのここ最近の活躍はすさまじいことは認める。
だけど、ちっとも肌が潤っていない!!そう、まったく心が満たされていないかのようなの!!!」
「うっっ」
紗羅はその場にしゃがみ、顔を手で覆った。
「高松さん、わたくしはもう限界。母が謎の死をとげてから精一杯美肌家のために努力をしてきた。でも、心がもう壊れそうですの!もう、生きていく理由もないくらいに・・・」
紗羅が初めて見せた弱音だった。
「紗羅さん、あなたの今味わっている苦しみは誰かの陰謀だとしたら?それがあなたの最大の味方だと思っていたら?そして・・・大切な人までも奪い取ってしまっていたら?!」
デビューしてから今までのことが、紗羅の頭の中で走馬灯のように駆け巡ったー。
「・・・祐天寺・・・咲・・・?」
「闘うわよね?美肌紗羅さん」
高松七恵の瞳が暗闇で光を放った。