美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 53話

“beauty musse of the year SAKI VS SARA”
この華々しいまでの咲と紗羅のビューティ対決企画は、翌日のメディアのトップニュースとなった。
話題の主人公・咲が自宅のリビングでTVでそのニュースを眺めている。
「勝算の見込みはどうなんだ?咲。」
咲の父親は朝の挨拶もなく、咲にこう尋ねた。
「勝算のない勝負なんてしないわ ー お父様」
父親の顔も見ずに冷たく答える咲。
「・・・お前のこれまでの地位の半分は、わたしがつくったようなものだ。
祐天寺財閥のマイナスになるようなことだけはしないでくれ、負けは許されない。」
そう言って、外出した。
「なんなのよッ!!!」
咲は、リビングの窓ガラスに向かって、最高級のコーヒーカップを投げつけた。
こんな広い屋敷に暮らしていても、心はいつも寂しかった、咲。
誰かと肌を触れ合うことでしか愛を感じられなくなったのも、幼い頃からの家庭環境が原因に他ならなかった。
「お、お嬢様・・・お客様が・・・お、お見えです」
メイドが恐る恐る声をかける。
咲が振り向くとー、そこには美肌紗羅が立っていた。
「紗、紗羅!」
咲は動揺した。
「ごきげんよう、咲さん。そんな取り乱した貴女を初めて見るわ。もっとクールな方だと思っていたわ。いえ、今の姿が貴女の本当の姿なのでしょうね」
「紗羅ー、いったい何をしに来たっていうの?!」
咲は声を荒げた。
「今日は、これまでの貴女にお礼とー、ご挨拶に来たの。これまでのわたしは本当に弱かった。
お母様の意思を継ぐという目的さえ、見失いかけていた。ありがとう、咲さん。わたくし、貴女の冷血とも言えるこれまでの仕打ちで目が醒めましたの。今までの自分とはさよならしたの。
今日は、生まれ変わったわたくしでご挨拶をさせていただこうと思って」
「フフフッ!笑わせないで!人はそう簡単に変われないもの。あなたみたいなお気楽なお嬢様に何が出来るって言うの!!!」
「わたくしのお母様が死を選んだのは、この祐天寺家に理由が隠されているー。わたくしは、あなた方を決して!!!許しませんわ!!!全ては、来るべき舞台で!!!正々堂々と闘いたいですわ!!!」