美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 5話

「まったく、煙に巻かれた感じだよ...」
審査員たちは不満を口にしながら、会場を後にした。
「何かあるわね...臭うわ」
審査員たちの様子を見たワイドレポーター高松七恵はこう呟いた。
―あれから8年が過ぎ、「teenage読者モデルグランプリ」は第9回目を迎えた。
初代グランプリ祐天寺咲は、数年にわたり「teenage」誌のメインモデルをこなし、史上最多数で表紙を飾った。
大学卒業後は、その経歴とモデル時の人脈を生かし、女性起業家としてモデル芸能プロダクションやアパレルブランド事業を営んでいる。
当然メディアにも登場する女性の憧れの存在となっていた。
第9回目の「teenage」グランプリ授与式のコメンテーターを終えた咲が会場外へ姿を現すと、ある女性レポーターが近づいた...。
「祐天寺咲さん、あなたは本当に第1回グランプリだったのですかっ?!」
黒のリムジンに乗り込もうとした咲であったが、ゆっくりと振り向いた。
「...どちらの記者の方かしら?」
かけていた大きなサングラスも外しながら。
「失礼しました。わたし、芸能スキャンダルのリポーター高松七恵と申します。祐天寺咲さんには常に黒い噂がつきまとっているようですね」

「高松さんとおっしゃったかしら?わたくしあなたのおっしゃる意味が分かりませんわ。急ぎますの、失礼」
そう言って、リムジンの中に乗り込んだ。
「...片平、あのレポーターの素性を至急調べて」
咲は秘書にそう告げた。