美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 2話

ジャパン武道館・楽屋入り口。
扉には「第1回teenage グランプリ審査委員会」と貼紙がされており、「関係者以外立ち入り厳禁」とも赤い文字で書かれている。
「では今回のグランプリですが、最高得点996点であった6番・財乃宮紗羅(たからのみやさら)さんに決定でよろしいでしょうか?」
「満場一致ッ!」
「異議なし!」
「いゃ~次点だった3番の祐天寺咲(ゆうてんじさき)さんとも接戦だったよ~」
ようやく決まった安堵からか、審査員からも笑みがこぼれている。
「では、風祭(かざまつり)審査委員長、こちらのカードをお持ちになって、会場にお戻りいただけますか?じきに審査発表です」
「うん。急がないとな」
そう言って風祭審査委員長は、確かに審査でグランプリに選ばれた「財乃宮紗羅」の名前が書いてあるはずのカードを手にして、審査会場から本会場に向かった―。
「いやぁ、参った参った!選ぶのにこんなに時間がかかるとは・・・」
独り言を言いながら上機嫌で会場に向かう風祭審査委員長の背後から、1人の少女が
「風祭委員長でいらっしゃいます?」
と声を掛けた。

振り向いた風祭は、
「あぁそうだが、君は・・・3番の。どうしてここに?」
「わたくし、少しだけ、委員長にお話がありますの。少ーしだけだから、一緒にいらして...」
そう言って、最終決戦に臨んでいた祐天寺咲は、審査委員長である風祭の手を引いて、階段奥にある「使用禁止」と書かれた用具室に入っていった―。
「わたくしをグランプリに選ぶかどうか、一度お試しいただけませんこと―?」
そう言いながら悪女のように微笑む咲は、風祭の首にゆっくりと腕を絡めるのであった。