美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 10話

突如、自分の母親がこの世からいなくなってしまった―。
そんな事実を受け入れないまま、葬儀当日を迎えた。
母親である財乃宮真貴は、TV女優とは比較できない程の美貌の持ち主であった。
幼い頃から紗羅は、そんな美しい母が自慢だった。
財乃宮財閥グループ内の美容エステサロンを経営する女社長でもあり、紗羅のよき母親でもあり、妻としても父親・毅に尽くしていた。
マスコミはこぞって、輝かしい真貴をメディアに紹介しようという企みはあったものの、かたくなに真貴は断り続けていた。
「お母様...わたくしこんなこと...これから何を目標に生きて行けばいいというのっ!?」
母親と同じ学園、同じ留学先、そしてサロンを母親と共同経営することが目標だった紗羅にとって、何もかもが崩れてしまったのであった。
悲しみのチャペルが鳴り響くなか、母親が眠るお墓に背を向け、独り歩き始めた。
財乃宮家内には、母屋のような別宅がつくられていた。そこは母親の衣装など私物が保管されていた。紗羅はその別宅に向かった。
母屋の中は、母親の想い出で溢れており、「紗羅ちゃん」と、今にも優しい声が聴こえてきそうである。
真貴の宝石や衣装、どれをとっても素晴らしい物ばかりで、幼い頃の紗羅は、よくファッションショーごっこなどをしてよく怒られていた。
「お母様...」
紗羅は初めて涙を流し、ドレッサーに突っ伏したその時、
―バサッ―
何か冊子のようなものが床に落ちてきた。
「...これは、お母様の日記...ですわ...?」