紗羅と咲、宿命の女の戦い 9話
翌朝―
紗羅は通学途中、昨日の出来事を想い出していた。
「あぁ昨日は楽しかったわ。櫻小路さん、あの場所に行けばお逢いできるかしらん」
チャイムが鳴り響き、紗羅が教室に入ろうとした時、
「財乃宮さん!大変ですわ!あ、あなたのお母様が...!」
紗羅は、担当教授の伝言を聞くや否や、床にしゃがみ込んでしまった。
「...嘘、嘘ですわ...お母様が亡くなったなんて!」
TOKYOインターナショナル空港―。
青ざめた顔の財乃宮紗羅がVIP出入口を歩いている。
迎えのセンチュリーに乗り込み、自宅に到着するまで紗羅は無言のままだった。
都内超高級住宅街の高台の最高峰に財乃宮家はあった。
約一年ぶりの帰国が、自分の母親の葬儀になろうとは思いもしなかった。
「お母様...」
寝室のベッドに横たわる母親に静かに話しかけるが、応えてはくれない。
「どうしてなぜこんなことに...!」
ベッドの横で立ち尽くす父親財乃宮毅に向かい紗羅は叫んだ。
「すまない...紗羅。数年前からお母さんは手術不可能な病に襲われていたんだ・・・。留学中の紗羅には絶対言うな、と・・・」
「お父様!そんなことって!!!」
紗羅は泣きながら父毅の胸を叩くのであった。