美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 13話

母・真貴の法要を済ませた翌朝、紗羅はある場所へ向かうため、車を走らせていた。
ハンドルを握るのは、昔から財之宮家に仕えている運転手、彼も深妙な顔つきであった。
「紗羅様・・・そろそろです」
紗羅は無言で窓の外に流れる景色を眺めていた。
車は都内のある高台に位置する超高級住宅街にさしかかっていた。
急な勾配が続く坂道を登っていくと、まわりには大きな邸宅が軒を連ねている。
財界から大企業などの家宅が並び建つなかを走り抜けると、一際大きな門構えの瀟洒な洋館が高台にそびえ建っていた。門の横には守衛らしき人物が立っている。
門の前で車を停めた運転手は、バッグから一枚の古びたパスポートのような物を取りだした。
「それがないと入れないのね?」 「ええ、この通行許可証を使うのは、真貴様をお迎えにあがった以来でございます・・・」
バッグから取り出した通行許可証を感慨深けに眺めた運転手は窓を開け守衛にかざした。
すると、「美肌家」と掲げられている大きな門が鉄の擦れる音を立てながらゆっくりと開いていった。
「紗羅様、こちらにございます」
「ここが・・・お母様の生まれた場所」
紗羅を乗せた車は、ゆっくりとその敷地のなかへと入って行った。