美肌一族

これが初代の美肌一族。
もう1つのストーリー

紗羅と咲、宿命の女の戦い 28話

紗羅は以前にも増して超多忙なスケジュールをこなしていた。
この日もカリスマ女性ファッション誌「GORGEOUS」の巻頭ブチ抜き20頁「THE美肌紗羅」特集の撮影&インタビューのため、スタジオに缶詰状態であった。
「もぅ~!ホンットにスベスベのお肌ね!お化粧するのがもったいない位♥」
「やっぱり、あの素敵な彼との恋のおかげですよね?!」
ヘアメイクやインタビュアーが美しすぎる紗羅を目の前にして興奮していた。
「え、ええ!もちろんですわ。淑女にとって最高のスパイスはトキメキ♥ですわ」
紗羅は意気揚々と応えた。しかし・・・紗羅の表情は今ひとつ冴えなかった。
なぜならこの数日、達哉と思うように連絡が取れていなかったからであった。
今までは寸暇を惜しんで電話やメールで愛を伝え合ってきていた2人だったが、この数日間は紗羅から連絡を取っても繋がらず、メールの返信もないままである。
きっと達哉も仕事が忙しいのだろうと思っていたが、あまりの不通具合にさすがの紗羅もおかしいと感じはじめていた。
撮影の休憩時間に達哉の携帯に電話をかけてみたが、留守番電話になってしまう。
紗羅は不安な表情で携帯を握り締めスタジオの窓から見える空に浮かぶ月を見上げ「達哉さん・・・」とつぶやいた。
その頃、六本木リットカーレトンホテルのスイートルームに祐天寺咲と達哉の姿があった。
窓の下に広がる無数の灯りをボーっとした表情で見つめる達哉。
「達哉さん、この前みたくわたくしを抱きしめて♥さあ早く」
薔薇の花びらで飾られたキングサイズのベッドには、咲がバスローブ姿で横になっていた。
「咲さん・・・僕は・・・」
力なく言いかけた達哉の唇をそっと手でなぞりながら、
「達哉さん、貴方この画像が愛する紗羅に見られても構わなくって?」
スワロフスキーがちりばめられた咲の携帯画面からは、あの日のベッド上の達哉と咲が写し出された。
観念したように咲の腰に達哉は手をまわした。
「そう、貴方はそれでいいの。全てこのわたくしに従うのよ、決してもう逆らえない――」
咲の目がギラリと妖しく光を放った。